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ナナコは腕を骨折してから、もうずっとスイミングスクールを休んでいる。

ナナコは、プールは好きなのだけど、スイミングスクールが本当に好きなのかどうか、ずっと疑問視していた。

通っているスクールは90分のレッスンのうち、最初の30分は準備体操にあてられている。
スイミングスクールに通いはじめて最初の1ヶ月は、この準備体操も楽しそうにやっていた。
ところが、2ヶ月目に入ると、なぜか急に、体操する部屋で私と別れるのを嫌がるようになった。

そして、そのうち、体操の時間も部屋の隅でうずくまるようになった。
いろいろな先生がきて声をかけるけど、動こうとしない。
心配していると、やがて体操がおわり、プールの時間になる。
プールは楽しいようで、ニコニコである。

お友達ができないのが嫌なのかと思ったが、同じクラスの女の子に声をかけられたり、手をつながれたりしても、振りほどいて無視している。

どうしたいのか分からない。

体操をちゃんとしないなら、もうプールなんかやめるからね!

そう言い放つと、その時は体操を真面目にした。
本当はプールなんか通いたくないのだろうか。

そんな疑問がずっと心にあった。

運動音痴で、身体を動かすことが苦手なナナコに、唯一、楽しんでやってもらえそうな運動だったのだけど…。

2ヶ月に1回ある進級テストも、一向に合格しない。
動きが緩慢なナナコは、ばた足ものんびりである。
そこを指摘されても、「だって、疲れちゃうんだもん。」と答えた。
これでは、いつ進級できることやら。もう6ヶ月同じ級に留まっている。

そして、今回の骨折。
月に4回あるレッスンも、6月は2回しか行けなかった。
おそらく7月も行けないだろう。
再開は8月の後半だろう。

ナナコに思いきって聞いてみた。

「あのさ、プール、しばらく行けないじゃん?もし、もう行きたくないなら辞める?」

私はナナコを試したんだ。
どうか、やめると言いませんように。

ナナコは、少し考えてこう言った。

「プール続けたい。小学校に行っても続けたい。進級テストに合格して、他のクラス(級)にいきたい。」

自分の意思で行きたい、と言ってくれたことにホッとした。
そして、
「じゃあ、腕が治ったらまた頑張ろうね。」
と言った。
すると
「でも、他のお友達はみんな、違うクラスに行っちゃってるかもしれない。」

同じ級に通う子と、全く会話もしない。
当然、仲が良いわけでもない。
とすると、お友達と同じクラスでワイワイやりたいと言うわけでもないだろう。
多分、ナナコなりに悔しいのではないか?

ナナコは続けてポツリといった。

「あの時、柵に登らなければ良かった。」
(そうすれば、骨折なんかしなかったのに。)

私も、何度も何度も考えた。

あの時、家に入るのを止めて、リョウと一緒に砂場で遊ぼうと言っていれば。
あの時、虫眼鏡で観察するのを隣で一緒に見てあげていれば。
あの時、公園に行こうというのを止めていれば。

起こってしまったことは仕方ないと思いつつ、何度も何度も考えた。
骨折しなければ、遠足もプールも、なんの心配なく楽しめたのに。

でもね。

いつもやっていることができなくなって初めて知る気持ち。
悔しい気持ち。
すごく大切なものに気付きました。
ナナコも私も。
ナナコが悔しい気持ちを持っていることを知ったことが出来たのは、ものすごい収穫だった。

一回り成長できたのだと思いますよ。
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Author:kuromamma
38歳で初期流産。
40歳で妊娠&女の子出産。
不妊治療の末、43歳でやっと男の子を授かりました。

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